
第62回 腹臥位療法のすすめ
よい睡眠を保つにはまず心身ともにリラックスすることが大切です。
私は枕を高くして、行儀よく眠ることはありません。その姿勢ではリラックスできないからです。そこで私は、腹臥位(うつ伏せ)で眠ることにしています。
いわゆるお腹を上に向けた仰臥位で眠る高等動物はヒトだけです。しかし、人間も動物なのですから、そういう姿勢で眠ることは不自然ではないかと考えています。人間にとっても睡眠中の自然な体位は腹臥位ではないかと思うのです。
私は枕を高くして、行儀よく眠ることはありません。その姿勢ではリラックスできないからです。そこで私は、腹臥位(うつ伏せ)で眠ることにしています。
いわゆるお腹を上に向けた仰臥位で眠る高等動物はヒトだけです。しかし、人間も動物なのですから、そういう姿勢で眠ることは不自然ではないかと考えています。人間にとっても睡眠中の自然な体位は腹臥位ではないかと思うのです。
腹臥位の研究と効用
動物の脊椎と内臓の基本的な位置を見ると、諸臓器が背骨にぶら下がっている構造です。
仰臥位(あお向け)で眠ると、重力の作用で胃の幽門は脊椎の上に引き上げられることになります。しかし、腹臥位であれば、消化管の内容物は脊椎を乗り越える必要がありませんから、たとえ眠る前に食事をとっても胃腸が押されて苦しいということもなく、胃腸の蠕動はスムーズになります。
仰臥位ではできやすい仙骨部の床ずれ、舌根沈下、気道狭窄によるイビキや睡眠時無呼吸も、腹臥位では軽減されます。
腎臓・尿管・膀胱・尿道の解剖学的な位置から、尿は仰臥位よりも腹臥位のほうが自然に流れ出ます。副鼻腔炎や気管支拡張症で膿や分泌物が気道や細気管支に貯留しやすい人には、腹臥位の体位ドレナージ効果といわれるものによって、分泌物は口や鼻から自然に流れ出ます。
仰臥位中に起こりやすいとされている飲食物の誤嚥や、それによる肺炎の予防も腹臥位では軽減することが期待されます。また、脳卒中やパーキンソン病などの慢性疾患のリハビリテーションにも腹臥位は有効であったとの報告もあります。腹臥位であれば、病人は腕や手で自分の体をより容易に移動させることもできますし、骨折や外科手術後の早期離床に対する効果も検証されつつあります。
絶対安静は、筋の廃用性萎縮、関節拘縮や骨粗鬆症を短期間に進行させてしまい、不安定歩行や起立性低血圧による転倒などによる骨折を併発させやすくなります。過度の安静によるこれらの悪循環を断ち切るためには、まず病人をベッドから起こし、座らせ、立ち上がらせることです。腹臥位がその契機になるものと思います。
ただ、指摘しておかなければならないことは、腹臥位研究の歴史はまだ浅く、エビデンスに乏しいということがあります。今後、腹臥位に興味を持つ人が増え、その臨床研究が進むことを望みます。
仰臥位(あお向け)で眠ると、重力の作用で胃の幽門は脊椎の上に引き上げられることになります。しかし、腹臥位であれば、消化管の内容物は脊椎を乗り越える必要がありませんから、たとえ眠る前に食事をとっても胃腸が押されて苦しいということもなく、胃腸の蠕動はスムーズになります。
仰臥位ではできやすい仙骨部の床ずれ、舌根沈下、気道狭窄によるイビキや睡眠時無呼吸も、腹臥位では軽減されます。
腎臓・尿管・膀胱・尿道の解剖学的な位置から、尿は仰臥位よりも腹臥位のほうが自然に流れ出ます。副鼻腔炎や気管支拡張症で膿や分泌物が気道や細気管支に貯留しやすい人には、腹臥位の体位ドレナージ効果といわれるものによって、分泌物は口や鼻から自然に流れ出ます。
仰臥位中に起こりやすいとされている飲食物の誤嚥や、それによる肺炎の予防も腹臥位では軽減することが期待されます。また、脳卒中やパーキンソン病などの慢性疾患のリハビリテーションにも腹臥位は有効であったとの報告もあります。腹臥位であれば、病人は腕や手で自分の体をより容易に移動させることもできますし、骨折や外科手術後の早期離床に対する効果も検証されつつあります。
絶対安静は、筋の廃用性萎縮、関節拘縮や骨粗鬆症を短期間に進行させてしまい、不安定歩行や起立性低血圧による転倒などによる骨折を併発させやすくなります。過度の安静によるこれらの悪循環を断ち切るためには、まず病人をベッドから起こし、座らせ、立ち上がらせることです。腹臥位がその契機になるものと思います。
ただ、指摘しておかなければならないことは、腹臥位研究の歴史はまだ浅く、エビデンスに乏しいということがあります。今後、腹臥位に興味を持つ人が増え、その臨床研究が進むことを望みます。
(2010年4月5日)
- この連載に関するお問い合わせ先
-
◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
TEL:03-5333-0083
FAX:03-5333-0084
ホームページ:http://www.c-mei.jp/