今月のおすすめ「読み合い」絵本
3月に読みたい
おすすめ「読み合い」絵本

絵本には作者だけでなく、かかわる方々の思いが詰まっています。それぞれの絵本に込められた思いを知ることで、読み合いにも深みが出てきます。
本コーナーでは毎月、この時期に読み合いたい絵本を年齢別に紹介します。
解説:佐々木由美子(東京未来大学こども心理学部教授)
0・1歳児におすすめの絵本

作:まついのりこ『とっとことっとこ』(童心社、2003)
暖かくなってきたこの頃、お散歩日和ですね。1歳を過ぎると、つかまり立ちから歩きはじめる子も増えてきます。行動範囲も、世界もどんどん広がっていきます。そんな時期に、いっしょに楽しみたい作品です。
ねこさんが、黄色い靴を履いてうれしそうに歩き出します。「とっとこ とっとこ」。次のページでは、紫色の靴を履いたありさんが「とっとこ とっとこ」。ぶたさん、カエルさんと続き、へびさんやロボット、お星さままで! 最後は「みんな いっしょに とっとこ とっとこ」。絵とリズミカルな言葉が一つになって、うれしい気持ちが弾けるように伝わってきます。
2・3歳児におすすめの絵本

著者:西巻茅子『わたしのワンピース』(こぐま社、1969)
うさぎが野原を歩いていると、空からふわふわっと落ちてきた真っ白な布。その布でワンピースをつくったところ……。お花畑を散歩すると、白いワンピースは花模様に、雨のなかを歩けば水玉模様に変わります。子どもが描いたような、のびやかであどけない絵。ページをめくるたびに変化していくワンピース。「ラララン ロロロン わたしに にあうかしら」。子どもたちからすかさず「似合う〜」と声が上がり、作品世界にどんどん引き込まれていきます。集団の読み合いの醍醐味です。
作者は絵を子どもに教える中で、「子どもたちは皆、芸術家」「どうして幼い子どもができる生き生きとした表現を、わたしたちは失ってしまうのだろう」と気づいたといいます。そして「絵によってページがめくりたくなる本をつくりたい」という思いから誕生した絵本です。のびやかな世界を楽しんでください。
4・5歳児におすすめの絵本

作・絵:あきやまただし『たまごにいちゃん』(鈴木出版、2001)
春は進級・入学の季節ですね。でも、大きくなるのはうれしいような、うれしくないような……。そんな気持ちをユーモラスに描いた作品です。たまごにいちゃんは、もう卵から出ていなければいけないのです。弟たちはヒヨコになってどんどん大きくなっています。でも、たまごにいちゃんは、ずっと卵でいたいのです。卵だったらいつでもお母さんにあたためてもらえるし、いろんなところにもぐりこむことも、水に浮かぶこともできます。ところが、ある日、殻にひびがはいってしまいます。このままだと「ほんとの おにいちゃんになっちゃう」と心配で眠れない一夜を過ごした翌朝、殻はとうとう割れてしまい……。
大きくなったたまごにいちゃんは、自分の姿を見て思います。「おもったより かっこいい」「わるくない」と。変化していく自分を受け止め、納得して前に進んでいく姿が頼もしいです。周りの大人も、他と比べるのでも、急かすのでもなく、その子なりの育ちを見守りたいものです。