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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第73回 精神障害をもつ独居女性をどう支えていくか
(2006年6月号(2006年5月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Tさん(権利擁護センター・生活支援員)

事例の概要

 クライアントは公営団地に住む独居女性。H16年8月に非定型精神病で入院し、入院中に夫が他界。権利擁護センターは入院中からかかわり、夫の相続などの支援をしてきた。H17年1月に契約。当初は前任者が生活支援員としてかかわる。同年9月に支援員交代となり、事例提出者が支援に入るようになった。

提出理由

 以前から地域福祉権利擁護事業で通帳をお預かりしていることにストレスを感じていたようだが、最近になり「自分でやっていきたい」と言われることが多くなった。現在は精神科の病院が変わったり、夫の相続や生命保険の解約金など大きなお金がたびたび入ったり、生活支援員が交代したりと環境の変化がある。病気に対しても否定したり、「介護保険を卒業したい」という発言も聞かれる。今後、地権事業がかかわっていくにはどのようにしたらよいのかを考えたい。

事例内容

Sさん・69歳・女性
相談経路
 H16年10月、行政の障害福祉課の担当ワーカーより相談が入る。「現在Y病院に入院中で、退院後の生活が不安。同年8月に夫が亡くなり、それまでは金銭管理や家事など夫が支えてきたため、一人では生活ができないのではないか。現在は知人(宗教関係の方)が金銭管理などすべてを行っている」
治療歴など
 診断名:非定型精神病
 H16年8月にY病院に入院。同年10月に退院し、その後5週間に1回通院していたが、H18年2月より近所のクリニックに転院する。
 最初に発症したのは、高校生のとき(本人「高校の先生が厳しくて発症した」)。その後、40歳のとき、うつで入院。52歳のとき、注察妄想・睡眠障害で約2週間入院。57歳のとき、上記同様の症状で約1カ月入院。68歳のとき、非定型精神病で約2カ月入院。
 H12年から通院が途絶えていたが、特に服薬なしで過ごす(夫がかなりカバーしていた様子)。
 H15年冬、夫ががんで余命半年と宣告を受け、その頃から夜眠れなくなる。H16年7月に夫が入院。その後、食事がとれなくなり、「玄関や部屋の窓から監視されている」と言ったり、工事の音などを「爆発だ!」と言うようになった。8月10日、家を飛び出そうとしたため、近所の方が安全を守れないと判断し入院となった。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。