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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第74回 キーパーソンの役割を考え援助関係を築くには
(2006年7月号(2006年6月刊行)掲載)

スーパーバイザー

高橋 学
(プロフィールは下記)

事例提出者

Tさん(精神科病院・ソーシャルワーカー(PSW))

提出理由

 援助の過程でソーシャルワーカー(PSW)に対するキーパーソンの態度が一変し、関係を再構築することが難しい状況となりました。あまりにも突然の変わりように戸惑ってしまい、何がきっかけだったのか、キーパーソンの思いをどのように理解して対応すればよかったのか、きちんと振り返ることが必要だと感じています。また、今後を考える上で、患者本人にとってその家族との関係をどのようにとらえて援助を展開していくことが望ましいのかを考えたく、提出しました。

事例の概要

  • ・患者:G氏・64歳・女性
  • ・病名:統合失調症
  • ・治療歴:特になし(精神科診療も当院が初めて)
  • ・経済状況:生活保護と母親の老齢年金
  • ・住宅状況:持ち家
  • ・生活歴:住所地に生まれ育つ。高校を卒業後、簿記の学校へ進学、2年間通う。卒業後、47歳まで会社勤めをしていた。
  • ・家族状況
  •  母(93歳・要介護3・アルツハイマー型痴呆)
  •  H15年2月、近隣者が役所へ相談したことから介護保険サービス利用開始(デイサービス)。
  •  父は15年前に他界。
  • ・現病歴
  •  H15年頃 「自宅の砂利を盗まれる」と民生委員へ訴えるようになる。
  •  H17年2月 「近隣住民が『万引きしている』と言いふらす」と言い、ほとんど外出しなくなる。民生委員が訪問した際には、声をひそめ「見られている」「透視されている」と言って途中から筆談となる。その後、ケアマネジャーに対しても「グルになっている」と言い、母もデイサービスを休みがちとなる。同時期に親戚(W氏)宅へ電話し、「娘さん亡くなったでしょ」「近所に嫌がらせされてる」など話すため、W氏が役所へ電話をかけ、「近所へ迷惑をかけているのではないだろうか?」と相談。
    4月5日 W氏と保健センターの相談員が訪問するが、会うことを拒否。母親は本人のことを「気がおかしくなってる」と治療に同意する。

プロフィール

高橋 学(たかはし まなぶ)

1959年生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学。東邦大学医学部付属大森病院、北星学園大学を経て昭和女子大学大学院福祉社会研究専攻教授。専門は、医療福祉研究、精神保健福祉学、スーパービジョン研究、臨床倫理など。