
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
「江戸しぐさ」を知ってイキにかっこよく

マンガ版「江戸しぐさ」入門―イキで素直にカッコよく
監修:江戸しぐさ語り部の会 主宰 越川 禮子<br />マンガ:斎藤 ひさお<br />構成・著:新潟江戸しぐさ研究会
発行:三五館
ISBN:978-4-88320-377-2
価格:¥1,050(税込)
発行:三五館
ISBN:978-4-88320-377-2
価格:¥1,050(税込)
おすすめの理由
今年の4月5月、わが(社)新潟県介護福祉士会では「接遇マナー」研修会を開催し、人材育成の総合プランニング指導を行っている「モアクリエイティブ」の柴田光榮先生を講師としてお招きしました。研修の際、柴田先生に紹介していただいたのが、この「江戸しぐさ入門」の本です。柴田先生は本書の構成・著書にあたっているということ、「新潟江戸しぐさ研究会」も結成されているとのことでした。さて、江戸時代は260年以上もの間戦争のない時代が続く、世界でも例を見ない時代であり、その平和な社会を支えたのが「江戸しぐさ」であったとのことです。「江戸しぐさ」とは、元来江戸の商人たちが町の安泰を願い、商売を繁盛させるためにお客様とよい人間関係を築くこと、それを保つためにはどうすればいいかと知恵を絞り、工夫を重ね磨きあげた人付き合いのノウハウがベースになっているとのことでした。なるほど、私たち介護の仕事も、利用者や家族、そして多職種並びに職場の人と、人と人との付き合いにいつも課題を抱えているなあと感じます。そこで人付き合いのヒントを、皆さんにも少しご紹介いたします。
「ありがとう」は、「めったに有り得ない」というのが本来の意味だそうです。私たちの命は見えない大きな力の中で生かされている――、そのことに感謝して「ありがとう」と想ったそうです。最近は命を大切にしない事件が多々起こっていますが、「ありがとう」は日本語の中で最も美しい、みんなを明るくする言葉だと思います。この言葉がいたるところで交わされれば、感謝の心が広がって温かい社会になる……。
また「亀の甲より年の功」、江戸では、経験を積んで世間を見る目を持っているお年よりは、皆から大事にされるという風土がありました。なんの制度もないけれど、若いときには苦労をし、年をとってからは余生を楽しむ、そんなことを江戸時代の人たちは望み、そうできるよう周囲にも配慮して生活してきたそうです。そうした配慮も“江戸しぐさ”なのです。
現代に目を移すと、“今しぐさ”はお年寄りが大事にされない、さびしい世の中になっている気がします。「江戸しぐさ」のように、お互いをいたわり合い、育てあう社会にしたいものだと思いませんか。
ここで紹介したのはほんの一部ですが、私も「江戸しぐさ」を身に付けて、カッコよくいろんな人と関わり合いたいなと思っています。
(西本 円さん・新潟県介護福祉士会)