
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。

不幸な国の幸福論
おすすめの理由
ヘルパーとして訪問し、さまざまな利用者と接してきました。そこで感じたのは、多くのお年寄りが「障害をもったら人生終わり」というような観念を抱いているということでした。介護の仕事は、障害をもっていても日常生活の継続を支援していくことです。もちろん、健康なときとまったく同じ生活様式というわけにはいきません。「生活の再構築」といわれますが、さまざまな支援を受ながら、工夫を凝らし、そして何よりも「障害があってもまずまずの人生が送れる」と実感するには、本人の発想の転換も必要となってきます。ヘルパーとしては、障害があっても希望をもった生活像が描けるように支援していくことが大切ですが、前向きな気持ちを阻む、日本人特有の思い・考え方があることをこの本で知ることができました。自ら考えることなく受身に生きてきた、個を確立できない日本人。ひとつのことができなくなると、他の生き方を積極的に模索しないまますべてをあきらめてしまうお年寄りたちの姿と重なります。本書は、死に向かって積極的に生きていく方法も提案しています。お年寄り、介護職、これから老いを迎えるすべての人に是非読んでほしい1冊です。
(訪問介護事業所管理者 N.T)