
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
法と介護の良識の壁

事故例から学ぶ デイサービスの安全な介護 チェックリスト付き
おすすめの理由
特養のケアワーカーとして1年勤務したあと、今年の春からデイサービスへと異動になりました。特養の入所者の方と違って、デイサービスに通われてくる方は利用期間が短い方も多く、まだその方のことがよくわからないうちからケアに入ることもあり、ひやりはっとすることが多々あります。そんななかで著書を手にとってみました。ひやりはっと事例が多く掲載されているので自分の施設と比べながら興味深く、あっという間に読み終えました。介護は現場実践なので、常日頃から多くのケースを知っていることが大切だと思い、事例集は読むよう心がけています。
特に印象深かったのは、巻末にある実際のデイサービス事故における判例でした。著者の言葉を借りれば、法律の生命至上主義と福祉の生活至上主義の対立で、福祉に身を置く者としては看過できない考え方の違いがありました。裁判官は命を重視するために利用者の“保護”に重点を置き、利用者の意思の尊重は二の次です。もちろん利用者の命は最大限守られるべきものだと思います。ただそこで利用者のこう生きていきたいという意思が対立したときに福祉関係者はどういう立場をとるべきか……。
現場を知らない学生さんが介護福祉士試験を受けられるのであれば、事例集などから現場を知ることも、とても有意義なことだと思います。
(ケアワーカー・さとみ)