
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
ALS患者のさまざまな生き方を通じて「生きる」ことの理解を深める

生きる力―神経難病ALS患者たちからのメッセージ
おすすめの理由
本書は、日本ALS協会の有志たちが原稿を募集して編集した『生きる力』というタイトルの闘病記(自己物語集)です。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は年間約10万人に1〜2人の割合で発症しており、神経細胞の変性によって筋肉の動きが低下していく進行性の病気です。全身の筋肉が徐々に侵されて、最終的には呼吸する筋肉も低下し、多くは呼吸不全で亡くなります。
この病気に対してはかなり悲観的なイメージがつきまとうのではないでしょうか。もちろん、いまだ治癒する方法は見つからず、筋肉がやせ衰えて全身が動かなくなっていくのを止めることもできません。ただ進行の度合いはかなり個人差がみられます。ALSと診断された人たちがそれをどのように受け止め、どのように人生を見いだしていくのか。集められた35編を読むと、そのタイトルどおり「生きる力」が与えられる気がします。
ALSという病気や患っている人への理解、それを取り巻く社会、そして人として生きることの意味を深く考えさせられ、ケアにたずさわる人には是非一読してもらいたいと思います。
(玉緒さん・ケアワーカー)