
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
実技試験への不安を軽くしてくれた思い出のビデオ

おすすめの理由
私が介護福祉士に向けての勉強を本格的に始めたのは、受験の申し込みをしたかなりあとでした。それまで様々な理由から、受験しようかやめようかずっと悩んでいたのです。しかし、せっかく申し込んだのだからとにかく受験だけはしようと決めてからは、たくさんの過去問を解いていきました。4、5年前に同じヘルパーの仕事をしているお姑さんからもらった過去問の問題集とビデオのほこりを払って、さらに最新の過去問問題集も購入し、過去10年くらいの出題傾向を分析。初めて知った法律や、福祉の歴史を片っ端から暗記していきました。この仕事をしていく上で、知っておけば役に立つ知識がふんだんに盛り込まれた過去問は、大変でしたが楽しく取り組むことができました。多くの人は筆記試験のために通信教育や模擬試験などを利用するのでしょうが、私は一切利用しませんでした。ひたすら自分の立てた予定に沿って、自分のペースで勉強をしたのです。ですから、筆記試験当日も様々な情報に惑わされることなく、自分を信じて受験することができました。筆記試験は自己採点で120問中100問余りが正解で、ほっと胸をなでおろしました。
さて、そのあとは実技試験が待っています。何年か前から、実技試験免除の講習会があちこちで開かれていて、多くの人がそちらを受講していますが、私はそれもやらないことに決めていました。もし実技試験で落ちたら、それがわたしのその時点での実力なのだからしょうがない、そう思ったのです。
そうは思っていても、実技試験までの期間はやはり不安でした。その不安を軽くしてくれたのが、このビデオでした。本ビデオは2巻構成となっており、まずは毎日かならず2巻目の「テクニック編」を観ることにしました。そしてチェック項目を書き出し、妹をモデルにしてビデオと同じ流れで練習。ベッドから車椅子への移乗、衣服の着脱、歩くときの介助の仕方など、実際のケアで役に立つことがたくさん学べました。私が実際に介護に携わっているのは主に全身性の障がいのある方なのですが、実技試験では片マヒの人を想定していることが多いと聞いていましたので、その点でもビデオがかなり役立ちました。
また試験当日の流れもビデオで観ることができたので、当日慌てずに済んだと感じています。
実際の実技試験の問題は、ビデオで観たものとはかなり違うものでしたが、あとから考えてみると、ちょっとした動作の一つ一つがビデオのおかげと言えるものでした。
現在、介護福祉士の資格をとって毎日のケアに邁進……、のはずでしたが、ひょんなことから事務局長になってしまい、身につけた知識と技術をあまり役立てることができずにいます。でもこの期間、仕事量も減らさずに受験勉強に取り組み、そこで得たものはわたしのこれからの様々な仕事の糧になっていくでしょう。
(近野里美さん・NPO・ACT 町田たすけあいワーカーズ)