
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
“普通の暮らし”を改めて問い直すきっかけに

「あたりまえ」を疑う社会学―質的調査のセンス
おすすめの理由
本書は、社会学における社会調査、特に質的なフィールドワークについて書かれたものである――、というとなんだか難しい話に聞こえるが、介護という対人援助に関わる人たちに非常に役立つ1冊だと思う。介護は“生活支援”という名のもとに、非常にプライベートで個別性のある部分に接近していく。それは寄り添っているのか、立ち入っているのか、何かを強制していないか。普段の、『普通』と思って、あるいは装ったつもりで接していることが、実はとんでもない風景であるかもしれない、そんなサイレンをこの本は何度も鳴らしてくれる。
『普通』というものは存在するのか、『あたりまえ』のことはあたりまえなのか。逆説的な言い方かもしれないが、そんな姿勢をいつも忘れないことが、個々人の『普通の暮らし』を支えていくことにつながるのではないだろうか。
(斉藤隆さん・介護福祉士)