
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
家族の率直な思いを通じて、認知症の人の気持ちをつかむ

おすすめの理由
認知症の方のケア。徘徊したり、暴力をふるうのは何かしらの原因があるのだから、まずはその人の気持ちに寄り添って――、と頭ではわかっていても、いざそういう場面に出くわすと「そんなこといっていられない」と目の前の対処的な対応に追われる毎日でした。そんな日々の連続のなか読んだのが『痴呆の人の思い、家族の思い』です。認知症の方に対するケアについて理想と現実の間で悩むなか、何か打開策はないか、そんな思いで手にとりました。本書はそのタイトルどおり、認知症のある人を介護している家族から寄せられた思いが率直に綴られています。そしてそのフィルターを通じて、認知症の方の行動とその思いを窺い知ることができる内容になっています。
本書を読んで、まえがきにあった「ぼけても心は生きている」ということがよくわかりました。いつしか自分は、認知症のある人を「人」として見ていなかったことを深く反省しました。そうした私の対応を敏感に感じとる認知症の方々。明日からのケアの風景が違って見える気がしました。
(岩井恵子さん・ケアワーカー)