
受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
人生の良き伴走者であるために

医療は「生活」に出会えるか
おすすめの理由
1995年の出版である。「在宅サービスにおける『ケアマネジメント』の導入や、介護主体の老人医療機関と老人保健施設、特別養護老人ホームの一体化もいわれはじめ」「高齢者を中心に、医療・保健・福祉の制度全体が大きく揺れ動き出した」(本書「はじめに」)時代。本書は、ある特別養護老人ホーム(以後、特養)の「生活」への接近の取り組みを綴った記録である。「会食」「おむつはずし」等、なぜそうするのか? というところから記されている。介護福祉士として特養に勤めている人で、すこしでもその「ありよう」に疑問を抱く人がいれば、必ず参考になると思う。特養は決して「病院」ではなく、生き生きとした生活の場であり、どうしたら彼等(入居者)の人生の良き「伴走者(支援者)」たりえるか……。介護福祉士は、これを常に考えながら仕事をしていく必要があると思う。とはいえ、昨今の「介護現場」の人手不足は、こんなことに疑問を持つことさえ許されないのかもしれない。何とかなりませんかね、この状況。
本書第6章「老人と性」もかなり示唆に富む内容となっている。
(さいとうしゅんさん)